【第12回】作家デビュー
2021年01月19日(火)

【第12回】作家デビュー

文章を書くことが好きな理由はただ一つ。
しゃべるのが好きじゃないからです。

たとえ親しくなった人とでさえでも、長時間は間が持ちません。
だから文章で自分の考えや、思っていることを表現するようになりました。

くぅが天国へと旅立ち、
次から次へと想いが溢れ出し、無意識に小説を書き始めていました。

タイトルは「胴長短足垂耳王子」です。

8月16日に筆をとり、9月10日に校了しました。
原稿用紙にして154枚です。

小説のジャンルは、僕のルーツとも言える発達障害のことや
ぴぃとの出会い、くぅへの感謝など、ほとんどノンフィクションに近い物語です。

せっかく書き上げたので、出版社に原稿を送って審査してもらいました。
そしてしばらく経つと、1通の返事のお手紙が届きます。

お手紙にはこのように書かれていました。

「全国流通の書籍として出版しませんか?」

僕の書いた小説が書籍化されて本屋さんに並ぶのです。
最初はとても喜びました。
基準をクリアしたこともそうですが、
なにより嬉しかったのは
出版社の編集者が講評に書いて頂いたコメントの一部です。

「独特の描写に引込まれる」

内容はきわめて私的なストーリーだし、
構成は長文となるとあまり自信がなかったので
表現力の部分を評価して頂けるのは素直に嬉しかったです。

文章を書くテクニックは後から身に付くものですが、
表現力はもともと生まれ持ったものなので、
褒められた分野が枯渇しない源泉にあることが、今後の活動に大きな影響を及ぼします。
小説だけではなく、ネーミングやエッセイなど様々なジャンルで活かすことが出来るということですから。

しかし、小説家としてデビューする夢は、
後の電話で諦めざるを得ない状況へと一変します。

理由は、ずばり、出版費用です。
僕の本は120ページの文庫本になり、1000円前後で書店やネットで販売されることになるそうです。
初回は1000部の印刷で、売り切れると増版されるという流れです。
製本・印刷・流通費用は総額で約150万円とのことで、
初版が全部売れても、増版しない限り印税が入っても儲けはないのです。

プロの作家さんや一部の芸能人が本を出せるのは
これらの諸費用をすべて出版社が立て替えてくれるからです。
一般人はコンテストで受賞した場合を除き、原則自費出版になるのです。

では、なぜ自費出版で本を出す人が後を絶たないのでしょうか?
その理由も今回の件で知ることが出来ました。

1つは、電子書籍という新しい分野で絶版した後にも作品を残せるから。
もう1つは、多方面への波及効果があるから。

本を出すと、各種マスコミで取り扱われることも少なくなく、
その結果、講演依頼や、ドラマの原作としてのオファー、
本業に箔がつくなど、直接の本の売上とは別に様々なメリットがあると考えられています。

また、電子化による拡散は書籍の比ではありません。
ネット時代の本はライトな読者層をターゲットにした内容が好まれているといいます。
SNSを通じて瞬く間に有名になる可能性を秘めています。

以上のような理由から、
フリーランスとして書く仕事を生業としている自分自身にとっても、
本を出すことは、決して悪いことではないのですが、
正直、150万円のハードルは高いです。
僕のお小遣いの6年分に相当します。
6年間なにも買わずに貯金するのは、ムリです。

クラウドファンディングで資金を集めたとしても、
御礼に本を配ってしまったら、販売部数が足りなくなってしまいますし。
もう少し貯金が出来て、生活にゆとりができたら改めて出版について再考してみようと思います。
その日までは、
無料で出版させて欲しいと頼まれるくらいの文章が書けるよう日々精進していこうと思います。

ということで作家デビューはお預けとなりました。
でも、諦めた訳ではありません。

可能性がある限りチャレンジし続けます。

ぴぃちゃんち