【第9回】サーファー脳
2020年12月11日(金)

タイドグラフと聞いてピンと来る方は、きっとサーファーか釣り人、もしくは漁業関係者くらいじゃないかな。
タイドって呼ぶのは、主にサーファー。
気象庁ではオフィシャルに「潮位表」という名前でデータを提供してくれています。
気象庁からは、全国239地点もの観測ポイントで365日分のデータが毎年提供されています。
データの形式は、プレーンなテキストデータです。
1行あたりのカラム数は136。
これが定型フォーマットでルールに基づき並べられ提供されています。
今回使うのは、239地点全部ではなく、全国主要サーフポイント48地点のみです。
いわゆる、波情報が提供されているメジャーなポイント付近の今日や明日の潮周りをお知らせするサービスとして。
ハイタイドというのは満潮のことで、1日のサイクルの中で2回、
同じくロータイド(干潮)も1日2回。
それが、年間の月と太陽と地球の位置関係で毎日変化して行くわけです。
海面の水位は、潮の満ち引きの高低差により、
大潮・中潮・小潮・長潮・若潮の5つのパターンを規則的に繰り返します。
サーフィンは、趣味か遊びか、はたまたスポーツか。
いずれにしても、自然界の流れに逆らって出来るものではないのです。
例をあげると、
満潮時には海面が高くて、ウネリがあっても波が割れ難かったり、
逆に、干潮時には潮が引き過ぎて、水位が浅くなりサーフィン向きの波が割れなかったり。
また別の視点から、沖縄など、珊瑚礁や鋭い岩場など独特の海底の地形の上で割れるポイントでは
干潮時には危なくてサーフィンできません。
このように常に自然とともに、海の状態を気にしながら予定を立てなくてはいい波に乗れない。
サーファーが、タイドグラフを気にするのは仕方のないことなのです。
ボク自身は中学3年生の夏にサーフィンと出会い、はや35年。
身を以てタイドグラフの重要性が分かっているだけに制作にも気合いが入ります。
まずは、UI(ユーザーインターフェース)をレスポンシブで。
サーファーは移動中にスマホでチェックすることがほとんどなので、
Wi-Fiがなくても一目で簡単に見れることがマスト。
如何に軽いデータで見やすい表示にするかが制作のキーポイントです。
また、今日だけではなく、自分がサーフィンに行く予定日のタイドグラフを予めチェックできるように日付を選択式に。
そして、1日のうちの今はどの水位なのかが分かるようにチャート上の現在時刻付近にマーカーを入れます。
使い勝手と、表示スピードを無視したデザインは、ことWEBに関しては御法度です。
ポスターや紙媒体を主戦場とするDTPデザイナーがウェブデザインをすべきでない理由がここにあります。
もともと、見て訴求させるイメージデザインではなく
アクセスして使わせる体験デザインだということが分かっていないから
画面の縦横比を考えずにやりたい放題の子供のお絵描き状態だったりします。
よく、デザインとコーディングを別の人物が分業するケースがありますが、アレは間違いです。
アウトプットされるプロダクトは1つなのに、制作者が2名は非効率かつクオリティーがとっ散らかる原因。
大きな制作会社に多いパターンです。
とは言っても、デザインするセンスとコーディングするロジカルな思考回路の両方を
同時に高いレベルで進めて行くことが出来る人はあまり居ません。
理系脳と文系脳。
ウェブ制作の現場には、どうしても両方同時に求められるケースの方が多いのです。
これが、ボクがフリーランスで15年ウェブの世界で生き残っている理由です。
アスペルガー症候群という先天性の脳の疾患も
ある特定の分野では唯一無二の武器となり得るのです。
ただ、その武器を使わずに、サーフィンにしか興味がないっていうところが
一番イタいところなんですよね〜。
右脳でも左脳でもない、
使ってるのは「サーファー脳」だけ。