【第10回】見ざる読まざる落込まず
2020年12月26日(土)

【第10回】見ざる読まざる落込まず

テレビの心霊番組が苦手なのです。
うかつにも始まってしまった場合は、チャンネルを変えます。
そのスピードは、ワンコがおやつを奪うときの早さに匹敵します。
ここで、重要なのはテレビの電源を切らないことです。
この状態のまま情報がストップしてしまうと、恐い残像が脳裏に残ってしまうから。
そのイメージはなかなか消えないから、トイレもシャワーも独りで行けなくなっちゃう。

イメージが残ってしまうというテーマです。
コピーやネーミングを考える際に、
先入観や固定概念、過去や他人に支配されたくないという思いが人一倍強いです。
裏を返せば、良くも悪くも影響を受けやすいのだと思います。

先日、有り難いことに俳句で最優秀賞を戴きました。
つい2ヵ月前に、川柳でも最優秀賞を戴いたことを考えると、短いのは得意分野なのかもしれません。
川柳と俳句は同じ5・7・5の文字数縛りがあるけれど違いって何だろう。
一般的には、季語の有る無しが違うんだよと言われているものの、はっきりとした差異が見出せません。

ただ、僕は作る時にこのようなイメージで使い分けています。

◎川柳「プッ」
◎俳句「ぽわーん」

何となく伝わりますか?
読んだ方のリアクションを表現しています。
文章を目にした読み手の方がどう感じるかを想像して書きます。
基本、感性だけで作っていますが、書き手が一方的に書きたいことを書くのとは少し違うかも。

理論や組み立てを必要とする言葉選びの作業の場合、
前作や、他のライターのアイデアを目撃してしまうと、
恐いテレビの残像のように、先入観として脳裏にこびりついてしまい、なかなか剥がせません。
なるべくなら他の作品の影響が0の白紙状態から始めたいのです。
ネーミングだろうが、俳句だろうが、ロゴだろうが、制作活動はオリジナルじゃなきゃ意味が無いと思っていますから。

それなのに、親切心からか、応募する際の入力フォームに、
「昨年の最優秀作品」とか「参考例」とか、なかなか目立つカタチで掲載されていることが多々あります。
それでも、なるべく見たくない僕は、
ありそうな場所を避け、万が一、見えてしまいそうになったら、薄目になってぼやかします。
自前のフィルター機能発動です。
われながら、この徹底ぶりがキモいですね。
融通が利かないアスペルガーの特徴の1つなのでスルーして下さい。

ところが、他作からの影響を受けることを避けるあまり、
どこに地雷があるか分からない募集要項をほとんど読まないクセが付き、
過去にはこんな失敗もありました。

・書き終わった後に、学生限定のコンテストだと知る
・制作後に、都道府県限定に気付く
・応募方法が、持参のみということを知る(この時は鹿児島県だった)

今回の受賞作はこれ。
安心して下さい。
全国誰でもインターネットで応募できました。

「桃色の駅舎に映えるタマノカンザシ」

恋山形駅というローカル鉄道の無人駅に咲く可憐な白い花を
ピンク色にデコレートされた恋が叶うという言い伝えのある可愛らしい駅舎との対比で読んだ句です。

「ピンク」を「桃色」と読み替えたのは、季語として扱うためです。
そして、やわらかくほのかな恋心をイメージできるように。
ね、ぽわーんとしてるでしょ(笑)

そして先日、忘れた頃に記念品と賞状が届きました。
送り主の住所を見て、一瞬で「ハッ」と青ざめました。
それは、失敗よりも、もっと恥ずかしいことが発覚したからです。

送り状の住所がなぜか「鳥取県」から始まっていたんです。
「山形県」じゃないんです。
そうなんです。こともあろうか、僕は、駅のある都道府県を勘違いしていたんです。
そして、決してあってはならないこと、勘違いしたまま読んだ句が最優秀作品に。
だって、「恋山形駅」っていうくらいだから所在地は山形だと思うじゃないですか。

募集要項をよく読め。

そう自分を戒め、反省した直後に、ぼくはこんなことを思ってしまいました。

きっと、山形県には「恋鳥取駅」があるはずだ、と。

ぴぃちゃんち